結婚式の当日、彼氏が土下座で許しを請う8年間も付き合った彼氏は、やっと私にプロポーズしてくれた。結婚式は1週間後に挙げると決まった。
幸せいっぱい気持ちで結婚式の準備をしていた時、偶然彼と友人の会話を耳にしてしまった。
「さすが一輝さん。水野桜(みずのさくら)にプロポーズしたら、あの高嶺の花と言われた酒井美月(さかいみつき)がすぐに動き出したじゃないか」
「でも、美月が戻ってきたら、桜はどうするつもりだい?」
彼はしばらく黙ってから、淡々と答えた。
「大丈夫。桜とは婚姻届を出すつもりはないから、式だけ挙げて芝居を打てばいい」
翌日のパーティーで、彼は私を抱きながらお客さんを応対していた。
しかし、美月が目を赤くして外に飛び出していくと、彼はすぐに私から手を離し、慌てて追いかけていった。
私は冷静に彼らの後についていったら、闇夜の中で二人が強く抱き合い、激しくキスを交わしたのを見た。
断念した私は、静かに一つの電話をかけた。
「結婚しない?新郎になってほしいの」